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「秋は、夕暮れ」虫の声は、日本人だけが聞こえます!

夜の帳(とばり)が下りると、鈴虫・コオロギ等の秋の虫が、自らがいることを知らすために鳴きだします。その鳴き声は、シンフォニーのように重奏でリズミカルです。
古くから秋の虫は、日本では、詩歌で詠われています。「万葉集」には、「夕月夜 心もしのに 白露の 置くこの庭に コオロギ鳴くも」の歌もあります。また、 「秋は夕暮れ―――風の音、虫の音など、はた言うべきにあらず」は、清少納言の「枕草子」にあるように秋の虫の音は、趣深い。
ところで、虫の鳴いている様を「虫の声」と「虫の音」という2つの言い方があります。

★驚くことに、虫の声を意識として聞くことができるのは、日本人とポリネシア人のみという研究を明らかにして、世界的に有名な人は、東京医科歯科大学の角田忠信教授です。
日本人の脳がほかの民族の脳と違う点を生理学的に追求しました。ノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士との対談でも語っています。

人間の脳は、右脳と左脳とに分かれ、それぞれ得意分野があり、右脳は、音楽脳とも呼ばれ、音楽や機械音、雑音を処理し、左脳は、言語脳と呼ばれ、人の話す声の理解などの論理的な知的処理を受け持つといいます。このことは、人間すべて同じです。

★ところが、虫の音(声)をどちらの脳で聴くかという点で違いがあったのです。
西洋人は、虫の鳴くのを音と捉え、雑音・機械音として音楽脳で処理しているので意識として捉えられないのに対して、日本人は、人と話すのと同じ言語脳で受け止め聞いていたということを見極めました。日本人とポリネシア人だけということが長い研究で解明したのでした。
ただしどの国の人ということではなく、日本で生まれ育つ人は、言語脳で聴くことができるとあります。

★日本人の文化意識は、四季の自然の移ろいと共に生してきた大昔以来の習性により備わったと思われます。(筆者考)

★「虫の声だけでなく、違いが出るのは、母声・泣き・笑い・嘆き・虫や動物の鳴き声・波・雨音・小川のせせらぎ・邦楽器音等を人の声と同じに捉え左脳で聴き、西洋人は、音楽音・雑音の右脳で聴いていた。
ここに古くから日本人の文化的な感性が磨かれている。
自然を敬う姿勢は、「生きとし生けるもの」との共生していく貴重な示唆を与えるものである」(伊勢雅臣著「国際派日本養成講座」より要約)

★秋は「文化の秋」です。文化とは、漢語で「文治教化」で、自由な思いで心から導き教えることだという。

文化は、ラテン語のカルチャに由来して、英語・フランス語・ドイツ語の発音も、カルチャです。英語のカルチベイトは、「耕されたら」「教養がある」という意味があります。ゆえに「秋は、心を耕す」時なのです。
運動会・展示会・講演会等が多く開かれます。秋は、人も虫たちも「生きとし生けるもの」として発信の時なのです。

★文化を考えやり続けることは、人間性が醸成でき人権意識の広まりとなって、地域の方たちが、心豊かになります。秋は、文化の時なのです。(y・k)