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嬉しい人のこと(300字小説入賞者との交流)

 先日、「300字小説」に応募していただいた方に入賞の表彰状と賞品等の授与のため、Aさんのお住まいにお伺いした。お一人でお住まいの方で、投稿した時には89歳で、3ヶ月後の今は、90歳であるとのこと。
 お電話では、声を詰まらせ喜んでくれた。
お合いすると、とても元気の方であり、毎日散歩で5000歩くそうだ。今日は、この位だと万歩計を見せてくれた。また今は、近くの人と俳句・短歌・書をやっているとのこと。
 一般新聞にも投稿して時々掲載されていると、掲示板に貼ってあるのを紹介してくれた。
最近、自主出版もしてきたとのこと。その本題は、「ダモイ」。
それは、終戦に近い頃ソ連での捕虜で4年間シベリア抑留されていた当時を思い起こした手記だそうだ。「ダモイ」とは、ロシア語で「望郷」のことだと教えてくれた。
 だから、この度の入賞作品の内容は、80有余年前の話から始まっている。6歳の少年の話が綴られている。
 この当時の出来事を思い起こしたかどうかはわからない。この作品をどうして書いたかを聞くことに躊躇が有った。人の過ごした人生に入りこむことを憚(はばか)ったからであった。
 奥さんは、6年前に他界したそうだ。そのことも小説として自主出版したそうだ。
そのタイトルは、「拝啓あの世の洋子さん」である。ユーモラスな題ではあるが、おそらく終戦後、二人で苦労して過ごした人生の仲慎ましいことの思いでであろうか。今このように元気でいることの報恩の綴りかもしれない。昔は、教師をしていたと後で教えてくれた。ささやかな賞状と賞品であったが、「こうした人の心を思い起こす募集文は、大事な企画であるから続けてほしい」と喜んでくれた。また自分は、105歳まで生きようと思うと言う。なぜならば、自分たちを夫婦にしてくれた仲人の奥さんの方が108歳で岐阜一番の長寿だったから、これを超えるわけにはいかないから105歳までとしたと言っていた。恩をいつまでも忘れない心を学んだ。
また仲のよい友達3人がいて自分の歳の一歳上下の方がいるそうだ。後10年で丁度3人で300歳となるので盛大にパーティをやろうと計画しているとも言った。幾つになっても、いつでも夢を持って愉快に、大波をゆうゆうと乗り楽しみ、生き抜く姿が神々しく見えた。おそらく目標達成する方だろうと、嬉しさが込み上げるのであった。また、応募するとのこと。散歩の時立ち寄れたら寄らせてと言う。嬉しい限りである。
 本当に心豊かな人との会話は弾み、いいものである。
一瞬の出会いで、このような方とお知り合いができたことの身の幸せを感じるひと時であった。
 末永くご長寿あれと祈るばかりである。(y・k)