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ホームイラストギャラリーぬくもり教室(人権教室)

どこがちがうかな【令和3年度実施 兼山小学校】

※今年度は各校の要望を取り入れ、2校それぞれの台本でぬくもり教室を開催しました。

ある月曜日の朝のことです。まゆちゃんは、目がさめたら、頭が痛くて、布団から起き上がれませんでした。

まゆママ 「まゆ、昨日の日曜日、久しぶりに友達と公園に行き、遊びすぎたん 
      じゃない?夕ご飯を食べた後、眠そうにしていたし・・・熱を計っ  
      てみようか。38度、学校は休まなきゃね!」

病院へ行くと、風邪になっていることが分かりました。点滴をし、薬をもらって飲んだら、少しは楽になりましたが、まだ身体に力が入りません。
なかなか体調が戻らず、暫く学校を休んでしまいました。

しるくちゃんも学校を休みました。
学校へ行こうとは思っているけれど、何となく身体がだるく、その気になれません。(学校もすっかり変っちゃったなあ。リコーダー吹きたいなあ。休み時間にいつもしていたのに。みんなと歌いたいなあ。いつになったら、出来る日が来るだろう?)そんなことを考えながら、だらだらしているうちに、時間がずいぶん経ってしまいました。

しるくママ 「しるく、ぐずぐずしないで!早く学校に行く準備をしてよ。
       どうするの?今日もまた、学校を休むの?返事もできないの!
       もう!身体の調子が良くないから休む、って連絡しとくよ。」

おうちの方は、二人とも忙しく、朝早くから仕事に出かけ、夜、遅くなって帰ってくることも、たびたびありました。しるくちゃんは、一人だけで夕ご飯を食べる日もありました。いろんなことが重なり、嫌だこんな生活、嫌だと思っているうちに、ストレスとため込んでしまい、心の病気になってしまいました。次の日も、次の日も学校に行く気になれず、休む日が続きました。

しばらく休んでから、まゆちゃんが登校しました。まゆちゃんは何となく嬉しそうな顔で、教室に入っていきました。まゆちゃんの姿を見たクラスの子が、声をかけてきました。

女の子①「おはよう!やっと学校に来られたね。待っていたよ。」
女の子②「まゆちゃん。一緒に遊ぼう。」
女の子③「算数の勉強、けっこう進んだよ。もし、分からないことがあったら、   
     聞いてね。」

まゆちゃんを囲んで、嬉しそうに話していました。
まゆちゃんは、(学校に来られて良かった。)と思いました。

しるくちゃんは、来たくないのに我慢して学校に来たので、何となく下を向きながら教室に入っていきました。
しるくちゃんが、「おはよう。」と声をかけた子は、何も言わずに離れて行ってしまいました。
仲良しだった子が、そっと近づいてきて、小さな声で、
女の子① 「久しぶり。学校に来られたね。良かったね。」と言いました。

しるくちゃんが、席に着こうと歩いて行くと、
女の子② 「ねぇ、ねぇ、どうして学校に来なかったの?」と聞いてきました。

しるくちゃんは、何も言えず、顔が上げられなくなりました。
女の子2人は、しるくちゃんの方を見ながら、こそこそ内緒話を始めました。

 やっとの思いで、学校に来たのに、(やっぱり、学校に来なきゃ良かった。何も楽しいことなんか無いし・・・)しるくちゃんは、何だか悲しい気持ちでいっぱいになりました。(早く、お家に帰りたい。)心の中で、何回も呟きました。

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風邪で学校を休んでいたまゆちゃんと、ストレスからくる心の病気で休んでいたしるくちゃんのお話です。
2人が久しぶりに登校してきた時の、友だちの対応を比較して学び合いをしました。
休んだ理由は違っていても、みんな同じ、かけがえのない友だちどうし。
大切な心の重さは、同じです。
気弱になっている友だちがいたら、元気が出るような優しい言葉をかけてあげましょう。
言葉が「人を守るもの」として使われることを願っています。