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キング博士に学べ!

 マーティン・ルサー・キング博士が人種差別の撤廃を叫び、「私には夢がある」演説から50周年のその翌日にオバマ・アメリカ大統領が、苦渋の選択であろうか。シリア暴動・紛争への介入を声明した。手続きが残っているにせよ、実施する思惑は、シリアが国連の条約で使用禁止の化学兵器を使い国民を殺傷した罪を問うものであった。たしかに子どもが殺害され横たわっている報道写真を観る限り、残酷無比なことで、あってはならないことは間違いない。アメリカは、国連決議をしてもロシア等の拒否権で否決されるから、独自の制裁としてフランス等と実施するらしい。戦争にもやってはならないルールがある、それを犯したのだから許さないと言うのだ。
 アメリカは、人権・人権というが、50年前(東京オリンピックの前年まで)には、未だ黒人差別をして、食事も学校もバス・タクシー・トイレさえも肌の色で差別されていたのだ。長きにわたりこれが当たり前とアメリカ社会は人種差別をし続けてきたのであった。
 その後も時々いざこざがあり暴動や暗殺も起こったりしてきた。この白人皆がやってきたことの人権侵害の重みと、この度のこと等の違いがわからない。黒人の大統領さえこのことから出発していない。アメリカだけでなくヨーロッパで植民地を持つ国のほとんどがアフリカの黒人を奴隷として売買をして虐げて、自由・平等・博愛と言いながらも人権無視が続き、反抗の暴動・爆弾テロ等の史実があるのだ。オバマ大統領は、こうしたことを乗り越えて今度こそ、核兵器を無くすと言いノーベル賞を貰っても、なんら紛争の解決はできないでいるのである。
 これが人権の艱難さである。分かっていても、これを抑えるには同じ武力の手しか使えない悲しさがある。立塞がれた何か大きいことが起こるとそれに負けてしまうことだ。人の心の移ろいのはかなさであるからだ。 やはり起こる前の対応をどうするかであろう。こうした争いの因の第一は、貧困と教育の劣悪が、こうした民族間の対立・不平不満の暴動の因をつくるもの。貧富の格差による。
 第二は、為政者や権力者が、勝利するとすぐ思いあがって、国民の税を自分の金のように「族議員ということが何にが悪い」などと「ふだけた」事を過去の反省もなしに、偉そうな顔で平気で言い始める光景を観た。こうした奢り高ぶる気質が、シリアの権力者と同種だと思う。
 高ぶる気質の中に、民衆を殺しても何ともない同種の命が潜んでいる。このことを知らないで言う姿に滑稽さを感じるのである。こうした為政者の立ち位置での権力本意・自分保守の気質判断によることものと思う。
そこには、国民の思いなどどうでも良いのである。
 キング博士が言う。「黒人たちよ、我々の公民権運動は、白人に勝つことではない。そうでなくして白人の中にある誤った敵意を無くすことこそ目的なのだ」
「敵意を無くするために敵意を持ってしたのでは、報復の悪循環に陥るばかりだ!」そうではなくて敵意をなくすためには、愛するしかない。愛によってこそ敵意を除くことができるのだ!」
「白人の運命と黒人の運命は深く結びついている白人を救わなければ我々黒人も救われないのだ。だから白人から敵意をなくすために黒人たちよ白人の兄弟姉妹を愛そうではないか」
「白人に勝つことでなく共に生き、共に生きることが運動の目的なのだ」と実に高貴な考えである。
こうした思想を為政者が学び持つならば、世界はおそらく安寧な世となるであろう。 愛するとは、互いに交流をして、相手を理解し話し合うことである。グローバルの時と言っても紛争をして子ども遊びのような陣地取りを大人がしている。キングのようなソフトパワーを磨く以外にない。「人としてこの地球上に共に住んでいることを確かめ合う」との岩盤に立つことである。(y・k)