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ホーム心のビタミン

「一」と言う概念の大切さ

 今年も始まったかと思っていたら、もう一月が過ぎて2月に入っている。「光陰矢のごとし」と言われることが、身にしみてわかる。

1月には、新年度の活動に思いを馳せる。 組織は、「庁の一年」でなく「長の一念」で決まるというからだ。

組織が何かをしてくれるのではない。そこの居る人が為すのであるからだ。ゆえに、その長の決意が人の意慾となって跳ね返ってくる。

今、ここに「人間の建設」という文庫本がある。文化功労章受章の2人の

対談集である。一人は数学者の岡潔であり、もう一人は、近代比評家の小林秀雄である。

岡は、「数学という学問は、一というものを扱わない」

一という概念は、人間の一生の中での「赤ん坊が、生後18か月の体験に似ていて、

一人で立ち上ろうとすると全身の400程の筋肉が統一的に動くと同じように、つまり一の

中に全てが含まれているからである。

その中でいろんなことを考えていくわけで、一という広大な世界が有るわけです」(一部要旨)

と言っている。

長い生涯を捉えて言っているが、年々の節目の一にも、このことが言えるのである。

「一年の計は元旦にあり」と言われる所以である。またこのように言ってもいる。

「赤ん坊は、お母さんに抱かれて、お母さんの顔を見て、

笑っている、このころは、自分や他人の別はなく、母親は他人で、抱かれているのは

別人だと思っていないながら、親子の情というものは、既にある。

情操(情緒)は、人のもっとも先に芽生える感情であろう」と言う。

組織も同じであり、抱かれた人とのかかわり合いに中であるからである。

そうした中、「赤ん坊は、生後18か月頃に自分を発見するという。

個人・個性と言う個は、一つにまとまった人を創りはじめていく」(要旨)

組織も、長の意識力で、そこの係る人が個々に力を発揮して、全体と言う組織を

創り上げていくもの。

「自他と時間の2つの観念さがない状態の時、のどかな安堵感は、できる。

それは、赤ん坊が、お母さんに抱かれている時の情緒である」 と2人の対談で言っていた。

分け隔てなく共に融合して、安心して感じ合える状態が平和の概念であろう。

このような関係づくりこそ、人権の啓発の原点なのである。

ともかくも、人の向上は、積み重ねた意慾の連続性の中にあり、その発端は、瞬時の

ポジティブの熱情ということかと思う。(y・k)