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初夏のはじめに

春を過ぎ初夏を迎えようとしている。
「目に青葉山ほととぎす初がつお」 (山口素堂:江戸中期の俳人)の
有名な句を口ずさむ。
 夏が近づくと森や山の木々の若葉が青色の染まり、山ではホトトギスが
鳴き出す。
この頃近海を黒潮に乗り北上する鰹(かつお)の若さ溢れる味覚が伝わって
くる。躍動の初夏にふさわしい句である。
 目で視て、耳で声を聴いて、舌で味を確かめる。これらの季語が3つ入って
いて有名である。

 また江戸時代の前期の俳人に宝井其角(きかく)の初夏の句に、ホトトギスの
句がある。
「あの声でトカゲ食うか時鳥(ほととぎす)」という句がある。
ホトトギスの声は、ウグイスの声のように澄んではいないが、似ている「ホ―ホケキョ」でなく
「特許許可局」と鳴くまた「テッペンカケタカ」と鳴くともいわれる。
インドからの渡り鳥である。この鳴き声に似ずトカゲを食うと言うし、またウグイスの巣に
卵をうみウグイスに育ててもらう習性があるというから、基角は、声とやることが違いすぎ、
見かけによらないものとして詠んでいるのだろう。

 この2つの句から思うに、
基角の句からは、人は外見で判断してはならない、意外な一面を持ち合わせて
いるもの。
よき個性は、互いに認め合うことが場を良くするもの。
また思いもつかなかった才能や良さを見つけた時ほど嬉しいものはない。

 内々のことであるが本センターの局員は、漫画を描くことを秘めていた。
ふと、このことを知ったことから、人権で大切な人の心の良きありようを描くため、
キャラクター(ぬくもりまゆちゃん一家:4人家族)をつくり、4コマ漫画として発信、
また多くの発行物のイラストで飾り、今では、とうとう短編の漫画「ぬくもり物語」の
制作中に至っている。

 「よき展開は、先を知らず」である。その人は、良いものを見いだせれば自らの
必要性が増し開花して意欲を持ち、より高みに登っていけるものである。
 こうした、判断は、いかにその人のいいところを見いだせるかである。
素堂の句にある、その時々に目を凝らして、耳をそばだてて、人の能力を確かめて初めて
分かるものである。世にないものをつくることは、励みであり、やりがいとなるのである。
 初夏は、成長の時である。

 人生渡り鳥のように、多くのことを経験しながら生涯を終わるもの、人は心動かされる
出会いにより共に良き大きな充実感とうるおいある人生を送れるものである。(y・k)