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「親ガチャ」

 「親ガチャ」初めてこの言葉を耳にした時、全く何のことなのか、見当も付かなかった。
 今、ガチャガチャが空前の大ブームと聞く。ガチャガチャの器械に入っている商品の中で、自分が欲しいと思ったキャラクターが、1回、2回とお金を入れたから、すぐに手に入るとは限らない。欲しくない、むしろ要らないものが出てくる場合だってある。お金のことを気にしないで、浪費と分かっていても、やり続ければ、希望のものが手に入る場合もあるかもしれないが。
 子どもは、親を選べない。親も子を選べない。どんな親から生まれてくるか、それによって、子どもの人生が決まってしまう場合もあり得る。それを「ガチャガチャ」に例えて、「親ガチャ」と言うのだそうだ。

 つい先日、新聞に、「学習環境 親の学歴で格差」と見出しがついた東京大大学院教授の中村高康氏の話が掲載されていた。
 コロナ禍での一斉休校中の子どもの学習状況を調査したそうだ。全都道府県と市区町村の教育委員会に調査を依頼し、9割弱の都道府県と6割弱の市区町村から回答を得た。
 例えば、シングルマザー非大卒世帯の子は、勉強を手伝ってもらえなかった割合が高く、両親とも大卒の子は、低かった。両親とも大卒で在宅勤務していた層は、非大卒で非在宅の層より、オンラインの学習教材を使えるように手助けしていた。また、大卒の住む比率が高い市区町村の教育委員会は、オンラインで課題を配信したり、独自の問題集などを作って配布したりする割合が高いといった傾向が表れたそうだ。大卒の多く住む地域では、保護者の注文を受けるなどして、教育委員会が環境整備に動いたことがうかがえたそうだ。
 教授は、「子どもが生まれる前から決まっているような、親の社会的・経済的地位に起因する格差は理不尽。どうしようもないところで出来た格差は、抑制しなければいけない。分断を生んで、お互いに対立すると、社会が不安定化する。不利益を被っていた層が、コロナによって、更に、分断を深める契機にもなり得る。」

まさに、「親ガチャ」。どんな親から生まれたかによって、学習環境も考え方も違いがある。生活していくだけで精一杯であっても、子どもの今を考え、手助けしている親も多いと思う。が、全く無関心な環境に置かれ、学習の習得状況まで格差ができてしまうのは、辛い。
 一人一人の子どもたちの心が安定し、学習に気持ちが向くような手立てが必要とされる。目の前にいる子どものために、どんな形で学習を支援していくか、弱い人にしわ寄せがいきがちな世の中を打破しなければいけない。
 子どもに、「親ガチャ」とは言わせない世の中にしていきたい。 
                               (c・s)