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ホーム心のビタミン

「・・・のくせに」

3人で暮らしているシェアハウスで、「女のくせに…」「太陽という名前のくせに、暗い」など、目の前の相手を嫌な思いにさせる言葉、「…のくせに」を言ったら、壁に貼った表に記録していくという、これは、テレビの中のドラマの話。

が、何気ない日常生活の中でも、特に感情が高ぶっていたり、満たされない思いがあったりすると、無意識で言ってしまうことがある。落ち着いて、考えれば、なんて失礼なことを口にしたのだとわかるだろうけど。

娘が、正社員として働いていた職場での話。
結婚そして、妊娠をし、産休、育休を取りたいと、上司に申し出た。
面談していると上司が、「子育てをしながら生活していくのは大変だから、正社員から契約社員になったら。都合のいい時間だけ働くこともできるし、どう?」と、言われたそうだ。
そこで、「即答は、できない。夫と相談してきます。」
すかさず「自分の事だから、相談する必要はないでしょう」と上司。

強引な上司の態度に、しぶしぶ娘は契約社員になることを承諾してしまった。
後日、契約社員にされた話を聞いた。一方的な娘からだけの話だが、正社員のままで育休を取り、復帰したいと考えていただけに、納得しているはずもなく、不満だらけの状態が続いていた。
「もう、年増女で、いつまでも独身だから、ちっともわかってくれない!」等々、上司のことを言いたい放題。
「女だから」「独身だから」というのは、正攻法ではないと話した。

「社則で、2年育休が取得でき、雇用の条件は、そのまま維持。となっているわけだから、契約社員にさせられるのは不当」誰もが納得できる言葉を選んで、説明しなくては、女性の上司を敵に回すだけだよと、話した。

育休を1年取り、職場復帰も間近になった時、政府がコロナウイルスのため、緊急事態宣言を発令。職場復帰を遅らせ、自宅待機との連絡が入る。
その間に、タイミングよく本社から、娘が契約社員になっていることについて直に、娘に問い合わせがあり、事情を聴かれた。上司の立場を考えながら、自分の希望についても話をした。その結果、後日、本社からの通達が届き、正社員に戻ることができた。

「結婚していないくせに…」なんて、仮に娘が言ってしまっていたら、上司との関係は修復不可能だったに違いない。今の職場で、時短を取りつつ、子育てをしながら安心して働くことができている。

一度は失った正社員という立場。それに伴う権利。取り戻せただけに、喜びは倍増。                                 c.s