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ホームイラストギャラリー300字小説入賞作品の挿画

いつでも見守っているよ!【平成30年度優秀賞】

ぼくは父の姿を見て新聞配達を始めた。近所にはいつもぼくの新聞を待っていてくれるおばあさんがいた。毎日、新聞をもらうと、
「ありがとう。」
といって新聞をもらってくれた。そんなある日のことだった。

おばあさんは亡くなった。葬式には、たくさんの人が訪れ、ぼくも参加した。

そこへぼくの所におばあさんの親せきだろうか男の人がやってきて、こう言った。「いつも新聞配達ごくろうだったね。実は、おばあさんは昔から目が悪くて文字が読めなかったんだよ。君が来るのが楽しみって…。」

その後は、かすかしか聞こえなかった。ぼくは、ただ泣くだけだった。けど、涙は、なぜか輝いて見えて、やって良かったと思えた。


*講評*

人との縁は、不思議なもの、どのような出会い・切っ掛けから発展するかは分らない。良い縁は、真剣な懸命さの本気ある善行から湧き上がるもの。
その縁がやがて、切ることのできない絆となり、人生を輝かしていきます。一生でどの位こうした事に出合いに、心を費やしたかが、その人の宝だと思います。(y・k)