2014年9月9日気高く勝負するということ
今朝のテレビは、朝からテニスの全米オープンの話題でいっぱいであった。
日本の錦織選手の決勝のニュースであった。日本人の選手で初の決勝戦である。
世界の男子プロ約2000人いる中での頂点の決勝であるから当然であろう。
ここまでの戦いの調子からいって負けるわけがないとの下馬評であったが、欲しくも負けてしまった。
また、この対戦した選手とは、数回対戦して勝ち越していたそうである。
勝負は、その時に集約された自分にかかる条件的環境・精神と肉体の状況等により、変わってくることは、通常の生活の中での良し悪しと同じである。
これを克服できるかが、勝敗を決することになるのだが、尋常でないこうした試合での選手へのプレシャーは、創造を絶する大きさであろう。
錦織選手の経歴を聞いて、ただの人でないことが分かる。5歳からラケットを持ち小学校で多くの大会で優勝していて、13歳で単身アメリカに渡り17歳でプロに入り18歳でツワー優勝して、プロ100位に入ったという。
その後も苦労や挫折もあったが負けた時に相手のコーチに「どうしたら勝てるかを教えてほしい」と言ったという。
自分のありようを真剣に追及している姿が、そこにある。こうしたことが幸運を呼んだのであろうか、コーチのマイケル・チャーン氏との出会いで、めきめきと強くなり今日があるという。
一途の道に賭けた一人の青年、錦織選手のすべてに掛けた決意が滲み出ている来歴である。人間をつくる人生での濃縮された生き様がそこにある。
準決勝での戦いで、印象深いシーンがあった。対するジェコビッチ選手がバクックハンドの返球を受けられなかったが、その素晴らしいプレーにジェコビッチ選手が拍手をされていたことである。スポーツマンシップのすがすがしさを感じたものだ。そういえば、イギリスのあの有名の全英オープンの会場である「ウィンブルドン・テニスコート」のセンターコートの入り口の壁に書かれている言葉を思い出した。「イフの言葉」として有名である。
「もし、あなたが勝ったとしても敗者を讃え(たたえ)尊敬できますか」また「もし、あなたが負けたとしても勝者を讃え(たたえ)尊敬できますか」「もし、それが出来なければ、ここで戦う資格はありません」(主旨)とある。これこそ気高い人間の尊極の品格であり究極の良識なのではないか。
この大会は、このことの大切さを教えてくれたように思う。(y・k)